国内資源を活用した肥料利用の可能性

国内資源を活用した肥料利用の可能性

キャベツ栽培における汚泥肥料の効果
近年、世界的な穀物需要の増加や国際情勢の影響により、肥料原料の価格高騰が続いています。日本の農業は肥料原料の多くを海外に依存しているため、安定した農業生産を維持するためには、国内資源の有効活用が重要な課題となっています。その一つとして注目されているのが、下水汚泥などを資源として再利用する「汚泥肥料」です。

本研究では、汚泥肥料の農業利用の可能性を検証するため、キャベツ栽培における施肥試験が実施されました。試験は埼玉県深谷市の圃場で行われ、汚泥肥料を原料とした肥料や従来の化成肥料など複数の施肥区を設け、生育状況や収量、品質などを比較しました。

試験の概要
試験では、汚泥肥料を配合した肥料や堆肥型資材、化成肥料など複数の条件を設定し、キャベツの生育や収穫量を比較しました。

その結果、キャベツの初期生育や収量については、汚泥肥料を施用した区と化成肥料区の間に大きな差は見られず、ほぼ同等の生育が確認されました。

さらに、収穫時の結球重量や出荷可能な株数については、汚泥肥料を利用した区でやや高い傾向が見られ、化学肥料の代替資材としての可能性が示されました。

根の発達にも好影響
収穫期における根の分布を観察した結果、汚泥肥料を使用した区では、根の量や広がりが化成肥料区よりも優れている傾向が確認されました。

これは、汚泥肥料に含まれる腐植物質(腐植酸など)が根の発達を促し、作物が養分を吸収できる範囲を広げる効果がある可能性が考えられています。

持続可能な農業への可能性
今回の試験結果から、汚泥肥料は化学肥料の一部を代替しながら、安定した作物生産を維持できる資材として有効である可能性が示されました。

国内資源を活用した肥料利用は、輸入資源への依存度を低減するとともに、環境負荷の軽減にもつながると期待されています。

今後は、土壌条件や作物の特性に応じた施用方法の研究を進めることで、より効果的な活用が広がっていくことが期待されます。

研究内容の詳細
本研究の詳細な試験内容やデータについては、下記の論文をご参照ください。

キャベツに対する汚泥肥料の効果的施用法(PDF)

参考文献
井上政義・蘭泰成・東義洋・井上政太郎
「キャベツに対する汚泥肥料の効果的施用法」
作物生産と土づくり 第57巻 第3号(2025年)
pp.35–41

関連技術コラム
・汚泥肥料品質向上への取組み
・資源循環型農業における有機資源の活用